求職者給付(失業給付)の申請後に必ず訪れる7日間の「待機期間」。
この間にブログやYoutube活動をしてもいいのか不安に思う方も多いと思います。
本記事では待機期間での内職活動の可否をはじめ、失業給付のポイントや注意点を紹介します。
失業給付の詳しい内容については厚生労働省が公表しているパンフレットをご確認いただき、すでに失業給付を受給されている方は、「雇用保険の失業等給付受給資格者のしおり」をご確認ください。
【結論】管轄のハローワークに確認する

失業給付に関する最終的な判断は、必ず管轄のハローワークが行い、待機期間中(7日間)の活動についても同様です。
ネットの情報などの体験談は参考になりますが、運用方法は地域などによって細かい違いがあるため、必ず自分の住んでいる管轄のハローワークに直接確認することが必須です。
私の場合はですが、待機期間中にブログ執筆や動画編集をすることについて、失業給付の申請時に管轄のハローワークに確認したところ、問題ないとのことでした。ただし、アルバイトなどの労働はNGでした。
もちろん、収入の有無に関わらず、作業した日や時間、収入があればその金額を正しく申告することが前提です。実際に認定日に「失業認定申告書」と「内職・就労申立書」に記入して提出したところ、特に問題ありませんでした。
また、個人事業主の場合は扱いが変わってくる可能性がありますので、管轄のハローワークへ確認しておきましょう。
ハローワークはブログやYoutubeなどの活動について、そこまで詳しくないとのことで、これにより活動されている方は質問や確認をされることが多いと感じました。事前に自分がどのような活動をどの程度行っているかを説明できるようにしておくとスムーズに進めるかと思います。
また、管轄のハローワークにもよりますが、記事の投稿日や動画のアップロード日だけ申告するのではなく、記事や動画作成のための準備時間(資料を探したり、撮影したりなど)を含めた時間を申告する必要がありますので注意しましょう。
失業給付の大まかな流れ
失業給付は申請から受給まで大まかに以下のようなステップで進みます。
① 離職票など必要書類を準備
↓
② ハローワークで求職申込み + 失業給付の申請
↓
③雇用保険説明会
↓
④ 7日間の待機期間
↓
⑤ 自己都合退職の場合は給付制限期間
※会社都合・特定理由離職者はなし
↓
⑥ 認定日ごとに求職活動を報告
↓
⑦ 認定を受けた分の支払い
失業給付を受けることができる人とは?

雇用保険では、失業中の生活を心配せずに仕事探しに専念し、1日も早く再就職するために「求職者給付」(失業給付
)を支給します。
この求職者給付は、仕事を辞めたら必ず支給を受けられるものではありません。求職者給付を受給できるのは、失業の状態にある方のみです。
失業の状態とは?
失業の状態とは、次の条件を全て満たす場合のことをいいます。
- 積極的に就職しようとする意思があること
- いつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があること
- 積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていないこと
以下のいずれかの状態に当てはまる方は、原則として求職者給付を受けることができません。なお、1,2,3の理由により、すぐに職業に就くことができないときは、受給期間を延長できる場合がありますので確認しましょう。
- 病気やケガですぐに就職することができない(労災保険の休業(補償)給付や健康保険の傷病手当金などを受給することができる場合を含みます)
- 妊娠、出産、育児などによりすぐに就職することができない
- 親族の看護などですぐに就職することができない
- 定年などにより離職してしばらくの間休養する
- 結婚して家事に専念し、就職を希望しない
- 家事手伝いや農業、商業など家業に従事し、就職することができない
- 自営業(準備を含みます)をしている※収入の有無を問いません
- 会社などの役員に就任している(活動や報酬がない場合はハローワークでご確認ください)
- 就職(見習い、試用期間、研修期間を含み、収入の有無を問いません)している
- 学業に専念する(昼間の学校に通っていて、すぐに就職することができない)
- 雇用予約・内定など次の就職が決まっている
待機期間とは?
待機期間とは、失業給付の受給資格の決定を受けた日から、失業の状態が通算して7日間経過するまでの期間のことを指します。
これは全ての申請者に一律で設けられており、この間は基本手当は支給されません。
待機期間と給付制限期間の違い
失業給付の制度には「待機期間」と「給付制限期間」という、似ているようで役割の異なる2つの期間があります。
名前が似ているため混同しやすいのですが、発生する条件や期間などが異なります。
ここを正しく理解しておくと、自分の給付開始時期を正確に把握でき、生活設計もしやすくなります。
項目 | 待機期間 | 給付制限期間 |
---|---|---|
該当者 | 失業給付の受給資格の決定を受けた | 自己都合退職や懲戒解雇 |
会社都合退職の場合 | 発生する | 発生しない |
期間 | 7日間 | 待機満了の翌日からさらに自己都合退職の場合は原則1か月※ 懲戒解雇の場合は3か月 |
給付の有無 | なし | |
終了後の流れ | 給付制限期間へ進む、またはすぐ給付開始 | 給付開始 |
※正当な理由のない自己都合によって離職された方の給付制限期間は、離職日によって以下のように給付制限期間が変わります。
①令和7年4月1日以降である場合:原則1か月
②同年3月 31 日以前である場合:原則2か月
③離職日からさかのぼって5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合離職し受給資格決定を受けた場合または懲戒解雇された場合:3ヵ月
就職または就労とは?

以下のような場合は「就職または就労」となります。なお、以下の1,2,3に該当する場合は、賃金等の報酬がなくても、就職または就労したことになるので注意しましょう。
- 雇用保険の被保険者となる場合
- 事業主に雇用され、1日の労働時間が4時間以上である場合
※契約期間が7日以上の雇用契約において週の所定労働時間が20時間以上、かつ、週の就労日が4日以上の場合は、実際に就労していない日を含めて就職しているものとして取り扱います。1.も含め、これを「継続就労」といいます。 - 会社の役員に就任した場合(1日の労働時間は問いません)
- 自営業の準備、自営業を営むこと、商業・農業等の家業に従事、請負・委任による労務提供、在宅の内職、ボランティア活動をした場合で、原則として1日の労働時間が4時間以上である場合
- 4.にあげた活動を行い、1日の労働時間が4時間未満であったが、それに専念するためハローワーク等の紹介にはすぐに応じられない等、他に求職活動を行わなかった場合
内職または手伝いとは?

以下のような場合は「内職または手伝い」になります。
- 事業主に雇用された場合、自営業の準備、自営業を営むこと、商業・農業等の家業に従事、請負・委任による労務提供、在宅の内職、ボランティア活動をした場合で、原則として1日の労働時間が4時間未満(雇用保険の被保険者となる場合を除く。)であった場合。
- 自営業の準備、自営業を営むこと、商業・農業等の家業に従事、請負・委任による労務提供、在宅の内職、ボランティア活動をした場合で、1日の労働時間が4時間以上だったが、1日当りの収入額が賃金日額の最低額2869円(この額は毎年8月1日に変更となる場合があります)未満であった場合
内職または手伝いによる収入を得ていない場合でも、内職または手伝いをしたことの申告は必要となります。また、内職または手伝いにより収入があった(自己の労働によって収入を得た)場合は、その収入金額を申告する必要があります。
申告方法
失業認定申告書:失業給付を受ける方は全員必須。
内職・就労申立書:失業の認定を受けようとする期間中に、就職、就労又は内職・手伝いを行った方のみ必須(ハローワークによりフォーマットが異なる可能性があります)。
「失業認定申告書」には、作業を行った日や時間、収入の有無を正確に記入します。収入がない場合でも、作業を行った事実は必ず申告しましょう。
また、内職または手伝いを行った場合は「内職・就労申立書」の記入と提出も必要です。
日々の作業内容や時間をメモしておくと、申告書や申立書への記入や認定日での申告がスムーズになります。
内職・就労申立書には主に以下の内容が必要になると思いますので、事前に確認しておくのをオススメします。
- 契約日(内職などを始めた年月日)、契約期間(内職などを続けている期間)
- 週の所定労働時間、週の労働日数
- 賃金締切日、支払日
- 事業所名(私の場合は賃金を支払う事業所で良いとのことだったので、youtubeならGoogle)、就労場所(自宅など)
証拠として収益レポートや通帳記録を保管しておくとより安心です。
収益化している場合の注意点
ネット関連での収入は金額や発生日の扱いが曖昧になりやすいため、事前にハローワークで確認しておくことが重要です。
また、Google AdSenseなどの広告収入、アフィリエイト収入、スーパーチャットなど少しでも収入がある対象、それに伴う作業などを全て洗い出して正しい申告をすることが重要です。
ハローワークに相談するときのポイント
ハローワークに相談する際は、事前に質問内容を整理しておくとスムーズです。地域によって異なる場合があるため、記録を残すことも大切です。
質問しないで後で取り返しのつかないことにならないように、疑問があったら質問しておきましょう。
例えば、以下のような相談内容でも良いと思います。
- 待機期間中に内職または手伝い(ブログやyoutubeなどの作業)をしても良いですか
- 作業時間の基準を教えてください
- 今月作業しましたが入金額の基準に達せず、再来月に入金される予定なので、収入に対しての作業日は今月分と来月分を合わせた日数で良いですか
- 月末に一括の入金となりますが、1日あたりの金額にする必要がありますか
- 過去に投稿した分(過去数年間分の記事や動画など)も収益に含まれるのですが、どのように申告すれば良いでしょうか
不正受給とは?

失業等給付の支給を受けることができないにもかかわらず、偽りまたは不正な手段によって失業等給付の支給を受け、または受けようとすることをいいます(現実に支給を受けたか否かを問いません)。
もし、不正受給をすると以下のような処罰を受けることになります。
- 支給停止
不正な行為があった日以後、基本手当、再就職手当などの失業等給付を受けられなくなります。 - 返還命令
不正に受給した金額は、全額返還しなければなりません。支給停止により受けられなくなることになる失業等給付をすでに受けている場合は、それも返還しなければなりません。 - 納付命令
返還命令分に加え、不正に受給した金額と同額から2倍に相当する額をさらに納めなければなりません。 - 延滞金
不正受給した日の翌日から年3%の率で課せられます。
また、これらの納入を怠ると、財産の差押え等が行われることがあります。以下に加え、詐欺罪で処罰されることがあります。
やってはいけないこと
失業給付は「求職活動をしていること」が前提です。虚偽の申告や不正な受給は、支給停止や返還命令、罰則の対象となります。
意図せず不正な受給にならないように疑問点はハローワークに相談しましょう。
例えば、以下のようなことは不正受給の対象になります。
- 就職または就労、内職または手伝いについて、その事実やその収入、採用予定などを申告しなかったり、虚偽の申告をした。
- 就職していないのに就職したと偽ったり、内定日や就職した日を偽って、再就職手当等の支給申請をした。
- 求職活動の実績がないにもかかわらず、失業認定申告書にその実績について虚偽の申告をした。
- 自営を行っていたが、その事実や収入を隠したり偽った申告をした。
- 会社の役員等に就任した(している)ことを申告しなかった。
- 偽りの記載をした離職票(離職理由を含む)を提出した。虚偽の離職理由を申し立てた。
- 労災保険の休業(補償)給付や健康保険の傷病手当金等の支給を受けていることを申告しなかった(雇用保険の支給終了後、雇用保険を受給した期間について、労災保険の休業(補償)給付の支給を遡って受ける場合を含む)。
まとめ
失業給付の待機期間中にブログやYouTube活動を行うことは、条件や申告方法によっては認められる場合がありますが、収益の有無にかかわらず作業を行った事実は必ず申告しなければなりません。
待機期間と給付制限期間の違いを理解し、活動時間や収入の基準を守りながら、正直な申告を徹底することが重要です。
最終的な判断はハローワークが行うため、不安や疑問があれば必ず事前に相談し、記録を残すことで安心して活動できます。